待ったなしの改革が必要!社員が自ら再生に動き出すには?

今、経営の状態が逼迫している中で、悠長なことは言っていられない……しかし、そんな状態であればあるほど難しい決断を求められ、経営者の基盤が安定しているのかどうか、組織がどのくらい成熟しているのかどうかが試されます。

そんな時に、無いものを求めても仕方ありません。今あるものや、起こっている現実をしっかり見つめ、事業や人、組織に何が必要なのかを見定めていただければと思います。

恐れていても、現実は起こるのです。

社長の告白…このままでは閉鎖の可能性も

ある工場再生をした新任の社長は、予想される未来を社員と共有しました。

つぶれる可能性があることも伝えました。でも、「一緒に乗り越えていきたい」という自分の想いを伝えた時に、初めて社員が「私だって貢献できるんだ」ということを実感し、この会社を自分たちの手で何とかしてやろうと思うことができました。

これが改革の源泉となり、工場が再生するエネルギーを高めたのです。

焦りと恐れから打ち手を間違え、神風を待つ…

これまで、私がご支援してきた事業は、事業のライフサイクルが成熟期や衰退期を迎えているケースがほとんどで、結果的に、V字回復した事業や、再生した事業も多々ありますが、一方で、神風が吹くのを待っている役員や、焦りや恐れから打ち手を間違え続けた経営者によって、買収された事業もありました。

その経営者の方は、事業の衰退期で、事業や商品価値の再定義が求められていたにもかかわらず、苦手な分野に手を出す、自分の意見を押し通す、異なる意見を持っている周りの意見を聴かない、自分に都合のよい情報しか見ないなど、どんどん孤独になっていき、最後には、「自分は悪くない、相手が悪いんだ」という感情のブレーキが効かなくなってしまいました。当然、社員も離れ、次々とキーポジションの社員が辞めていきました。

これは、今でも悔しい想いが残り、私がこの仕事の原点に立ち返るときに、いつも想起するご支援の事例です。

失敗した市場分析…自分が思っている価値は時代遅れ…

一方、V字回復した事業の中で印象に残っている事例の1つは、経営チームの決断スピードが速いことが特徴でした。

もともと、人のつながりをとても大切にする文化を持っている会社で、年に1回グループ全体の経営者が集まり、グループの歴史や、大切にしていること、経営者の意思決定の背景や意図などを振り返り、未来を語り合っていました

その会社の中のある事業が、新しい商品を市場に打ち出した際、市場分析では大丈夫だと判断していたものの、全く良い反応がありませんでした。

経営チームは、すぐに現場に足を運び、リサーチを行いました。

そして、市場で起こっている状況を冷静に受け止め、多面的に情報を集め、「このままのコンセプトでは無理だ」と判断し、いったん撤収に動きました。

その後、新たに修正して、あらためて一気に打ち出したのです。

その時の事業リーダーは、市場の動きを冷静に見ながらも、自分たちの打ち手のミスを納得していました。

事業チームの合宿をしていた際に、ほかの事業部から異動してきた部長がポロっと、「顧客が違うのではないか?」と話した意見を、事業リーダーは逃さずに拾い、自分たちのとらわれや固定概念を自覚しました。

「自分たちが当たり前の価値だと思っていたことは、今の市場では価値ではなくなっていた」ということに気づいたのです。そのトップは父性性が強く牽引力がとてもある方だったのですが、柔軟性という点が少し不足されていました。

※マザーシップデザインステージでは、こういった社長・リーダーの自己分析を行います。詳しくはコチラ↓

V字回復のはじめの一歩。どんな事業でもチェックすべき点は一つ

 

牽引力がある一方で、柔軟性と感覚が弱い…そのバランスをとるには?

その部長は、まさに柔軟性と感覚で意見を述べたところ、それが新たな突破口の発見につながり、見事に新商品の業績の立て直しにつながったのです。

実はそのトップは、この事業がM&Aをされた時に唯一残った社員でした。

その方は、「最初は苦しかった、これは自分たちの存在を守る戦争だ」と話していました。

しかし、自分一人で戦うのではなく、人の温かみや、つながり、一緒に乗り越えてきた仲間との信頼をつくり上げる過程で自分が何者かを知り、相手を受け入れる基盤を作ったのです。

今、彼は社長になり、大切にしてきた商品の価値を伝承し続け、次の世代が確実に育っています。

時間がかかる業績回復をするためには、歪んだ決断をしないこと。その第一歩は…

長い間ご支援をしてきた中で、経営者やリーダーにとって、人の意見をフラットに聴く力と受け入れる力はとても重要だと感じます。

事業の業績が回復するには、余程のリストラやコストカットをしない限り、時間はどうしてもかかります。そんな時こそ、経営者自身が安定した基盤づくりを元に意思決定をすることが必要なのです。

もちろん、事業というものには、寿命もあるでしょう。

しかし、少なくとも、寿命を決める要因の一つとして、過去や今、経営者がどんな意思決定をしたのかは重要です。

業務プロセスの見える化・ワークフローの見直しから始まる”フォーメーション”

そして、見落としがちな業務プロセスの見える化とワークフローの見直しも、事業の価値を生み出すために必要な流れです。

この流れを同時に見直し、その流れに乗りながら、自分たちの価値を高める思考行動パターンにシフトする。

自分が活躍できる場所が見つかり、仲間から応援されると、社員の方々は、喜んでそのフォーメーションの中に入り、動きを作っていくでしょう。

※フォーメーションデザインステージでは、社員が自分でタイミングを見て、ポジションをみつけ動くことを促進します。詳しくはコチラ↓

適材適所の先を行く、フォーメーションという考え方

 

企業経営には必ず困難な時期はやってきますし、アクシデントやトラブルは当たり前に起こります。苦しい時期だからこそ自分たちの原点に立ち戻り、存在や価値の再定義を行っていただきたいと思います。

経営者の意思決定の意図や背景が伝わり、自分自身が組織の中で「大切にされている、活躍できている、貢献できている」という実感があれば、経営者が困難な時であっても、社員は一緒に乗り越えてくれます。

混乱している世のなかで、苦しみの真っただ中にいる経営者やリーダーにあてた本が『全員参画経営 TOTAL FORMATION DESIGN』です。

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これから日本や世界を創造していく次世代リーダーの勇気につながるものになると幸いです。

そして、私は、これからも、そんな豊かな社会を創造する経営者やリーダーのご支援をしていきたいと思っています。ーおわりにより

 

本書は復活のプロセスがわかりやすいストーリー仕立て!

第1話 生き残りをかけた工場再生 ~社員自身の力で自分たちの市場価値を上げる~ より

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工場編2.1

工場編2.2

工場編3.1

工場編3.2

工場編3.3

工場編4.1

※本書の内容を漫画化しました。本書には、漫画はありません
㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。

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