発達障害の子どもへの上手なほめ方とは―「おだてる」との違い

「褒めて伸ばす」-とても流行っていますね。「叱らない子育て」のような本もたくさん出ていて、社会的には叱ることが「悪」のようになっています。

発達障害のお子さんをお持ちの保護者からは、「褒めたいのですが褒められません」とか、「叱ってばかりいます」という話をよく聞きます。でもそれが当たり前。問題行動が多いから発達障害という社会の評価を受けているのです。

「褒める」のも「叱る」のも、本来は社会生活を送る上で必要なことを教えるために行うものです。それなのに、「褒めなければいけない」と躍起になり、褒めることばかりにフォーカスしてしまうと、実際は褒めているのではなく「おだてる」になってしまうケースがよく見受けられます

そうやって、おだてられてばかりいると、その子どもは「おだてられる」ことを常に求めるようになります。認知のやや低い、自己肯定感の低いお子さんによくみられることで、持ち上げたり、ご機嫌をとったりしないと行動に導けなくなるケースがあります。

「すごい?」と聞くようになったり、「何でもっと褒めてくれないの!」とこだわりにつながったりする場合も。「誤学習」につながってしまうよくない例です。叱るのも、本来は社会での振る舞いを教えることなのです。

個性と障害の狭間で…

 

発達障害の中度や軽度のお子さんの中で、ある程度自分自身が周囲と比較できるお子さんの場合、その子に対して「スゴイ!」を連発するのは経験上あまり好ましくないと考えています

むしろ、認知の高い子の場合には、すでに周囲との差を理解しているので、「スゴイ」といわれて余計に反発する子もいます。このように、おだてるのはマイナスにしか働かないので控えたほうがよいと思います。

そもそも自分たちの行動で「スゴイ!」といわれることが一体どれほどあるでしょうか。そんなふうに考えてみるとわかりやすいと思います。

褒められて不機嫌になる⁉

もうひとつ理解していただきたいこと。それは、発達障害の子の中には「褒められる」という行為を正しく理解できない場合があることです。褒められているのに褒められていると感じない、もしくは嬉しいと感じていないように見える子がいるのです

たとえば、頭をなでられることを「不快」だと感じる子がいます。その子の頭をなでて褒めても、本人は少しも喜びません。私たちの文化背景が通用しないということです。そういう子には、この文化では「好ましい行動をして認められる」というのはどういうことかを、教え育てていく必要があります。

幼いうちなら、お互いに共通する「嬉しいこと」がないかを探ります。一番わかりやすいのは「好きな食べ物」です。いわゆる「ご褒美」です。彼らは、ものからの情報が伝わりやすい傾向があります。

(相談)何度注意してもやめてくれません

何かひとつ「望ましい行動」を決めておき、子どもがその行動・行為をしたらご褒美を与え、それと同時に、褒める側が「喜んでいる」ことを伝えます。そうやって「自分が褒められているときには相手も喜んでいる」という共通意識を育てていきます。

やがて子どもが「褒められる」ことを意識できるようになれば、ご褒美は必要なくなります。このように「褒められる」という共通意識を育てることで、「自分は認められている」という意識を育てることができるのです。

「認められること」が理解できるお子さんの場合、好ましい行為を言語化するだけでも効果があります。

「椅子に10分座っていられたね」
「触ってもいいですかって聞けたね」

こんなサラッとした表現でよいと思います。それでも、こちら側が「ちゃんと見ていたよ」というメッセージはちゃんと伝わります。

―『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』ルール12 「褒める」と「おだてる」は別もの より 編集

その他のルールをご紹介
ネットの悪意からわが子を守るルール作りを!
学びこそ生きる気持ちを育てる薬
問題行動を減らすのは早期療育
療育は「目的」を明確にしてからチャレンジ!
学校では育みにくい「大切にされること」

その他にも女の子に必要な「学び」 思春期と性教育の章では
健全な「性」は健全な生活から
大切な人を守る社会のルール
身だしなみや食事のマナー
思春期からでは身につきにくい性教育
大人への相談は大切なサバイバル・スキル
性を守り就労を続けて社会貢献
高めよう自分を守る防犯意識

なども紹介されています。

『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』より抜粋/編集

◆本書の紹介◆
発達障害の女の子の保護者や支援者が気をつけるべき点や、知っておくべき情報などを全6章、「47のルール」としてわかりやすくまとめたのが本書です。

1章 診断や医療機関の上手な使い方について
2章 親としての心構え、親のとるべき行動
3章 日常生活での支援と療育について
4章 健やかな生活を送るための学校選び
5章 女の子に必要な「学び」-思春期と性教育
6章 療育支援Q&A
「何度注意してもやめてくれません?」
「プライドが高くて注意するとパニックになります」
「新しい場所や新しいことが苦手です」など。

豊富な経験や、専門家からのアドバイスをもとに著者が作りあげてきた「発達障害の女の子たちが幸せに生きていくためのノウハウ」です。ぜひご活用ください。

―藤原美保(Fujiwara Miho)

藤原さん250

健康運動指導士、介護福祉士。

株式会社スプレンドーレ代表。

エアロビクス、ピラティス、ヨガインストラクター等フィットネスのインストラクターとしてスポーツクラブ、スポーツセンターでクラスを担当。発達障害のお子さんの運動指導の担当をきっかけに、彼らの身体使いの不器用さを目のあたりにし、何か手助けができないかと、感覚統合やコーディネーショントレーニングを学ぶ。

その後、親の会から姿勢矯正指導を依頼され、定期的にクラスを開催。周囲の助けを受け、放課後等デイサービス施設「ルーチェ」を愛知県名古屋市に立ち上げる。100組以上の発達障害の女の子とその保護者をサポートしてきた経験を踏まえ、実践の場からの声を届けるために、『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』を執筆。

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㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。

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