経営の危機をどう乗り越えるか?

私たちが今生きている世の中では、突然、世界の動きが変わってしまうようなウイルスの感染拡大や、目の前にあったものが一瞬でなくなってしまう自然災害など、自分たちではコントロールできない出来事や変化が起こります。

混乱している時こそ、起こっている事実情報を多面的につかみ、自己責任で選択し、行動することが求められます。

しかし、人間は、不安や恐怖の感情があふれると、今まで当たり前のように見えていたものが見えなくなり、冷静に判断し、行動することが難しくなります。

予期せぬ出来事が起こってから、慌てて準備をしても間に合わないのです。

それは、企業の中においても同様で、企業が存続する歴史の中には、必ず、経営困難に向き合う場面が起こります。

しかし、与えられた仕事を、決まった枠の中で決められたやり方でこなし続けているだけでは、こういった危機には対応しきれません。

平常時から、自分達や事業の存在価値や目的、めざす姿を明確にし、そこに近づくための判断軸や、大切にする価値観を仲間と共有し、目的をベースにつながりを創ることが大切です。

経営の危機が起こった時に、判断軸や価値観でつながった仲間や組織は、たとえ経営者が厳しい意思決定をしても、既存の枠を超え、ひとり一人が核となり、自ら判断し、血の通った生命体のようにフォーメーションを変えながら、危機を乗り越えていく行動を起こすことができます。

こんな時代だからこそ、一度立ち止まり、人や組織のあり方を根本的に見直し、めざす方向に束なる組織フォーメーションを創っていきましょう。

そのフォーメーションは、ひとり一人が変化に対応できる考え方や行動ができないと機能しません。
特に、経営者やリーダーの考え方や行動は全体組織に影響を及ぼしますので、まずは、経営者やリーダーが自分の思考行動パターンを自覚し、思考の歪みや制約を整えながら、自己変容を受け入れる準備が求められます。

これからの経営者やリーダーには、事実をそのまま受け入れられる基盤と、未来を開拓する基盤を創ることが必要になってきます。
基盤とは、変化を受け入れる安定した土壌と、安心できる環境をつくりながら能力開発を促す母親的な機能であり、また、未来を創造するために、自分で考え決断し、挑戦や開拓ができるように自立の後押しをしていく父親的な機能です。

私は、基盤の持つ父親的機能を「父性性」、母親的機能を「母性性」と呼んでいますが、経営者本人がもともと持っている「父性性・母性性」の機能バランスは人それぞれで、その人の経営マネジメントに特性として現れますし、組織マネジメントや、仕事のしかたにも特性として現れてきます。

経営者やリーダーの基盤が整うことで、人やモノの見方がフラットになり、人の強みや能力の見立てが磨かれ、効果的な人の再配置をすることで、さらに社員の能力が発揮されていきます。

本書でご紹介する「全員参画経営〜トータル・フォーメーションデザイン・マネジメント〜」とは、経営者やリーダーと社員がお互いの強みや能力を認め合い、高め合い、意思をもってつながり、目的をもって動けるチームフォーメーションを育む経営マネジメントです。

「全員参画経営」には2つのステージがあります。

まず、経営者が自分の強みをいかした経営マネジメントを実践する際に、自分の中にある父性性と母性性の機能バランスを把握する。そして、これから経営マネジメントに必要となるバランスや要素を自覚し、認知のゆがみや可能性を制限している思考行動パターンを変容させながら、自己基盤を整えていく「マザーシップデザイン」ステージ

次に、ありたい姿に近づくために、社員の中にある能力や可能性の発掘と、まだ使われていない能力の開発を行いながら、業務プロセスやワークフロー、マネジメントのやり方などを見直し、再配置していく「フォーメーションデザイン」ステージ

この2つのステージを通して、全員が参画し、目的やありたい姿に向かって、縦の組織を超え、縦・横・斜めと主体的に適材適所に動き、フォーメーションを変えながら、価値を高め合うつながりを作り出していく動きが、日々行われている状態をめざします。

これからの時代は、人が充足感のエンジンで世の中を回す「豊かさ」がカギになります。

先が見えない時代だからこそ、豊かな社会を実現する経営をめざしていく。
「全員参画経営」とは、事業や人や組織が心身ともに人間らしく、自分らしく豊かに成長する、つまり、「豊かな経営」を実現するための手法です。

経営者やリーダーが自分の強みも弱みも受け入れ、組織の中にあるものを受け入れる
その基盤の上で、事業や組織に関わる人たち同士が認め合い、命あるネットワークを築き、人や社会がさらに豊かになっていく

そんな循環が生まれる世の中になってほしい、それが本書に込めた願いです。

本書は架空の企業や登場人物で構成されていますが、支援企業で改革の起点となった重要なポイントなどは、ほぼ事実ベースで書いています。また、登場人物も、実際に一緒に改革を起こした人物のキャラクター要素が色濃く入っています。仕事を通じて出会えた素敵な仲間たちが、もがき苦しみながらも、自分たちの能力を開花させ、人生を切り拓いていく、2つの物語を通じて、皆様方の会社に役立つヒントが何か見つけられると嬉しいです。

ー『全員参画経営 TOTAL FORMATION DESIGN』はじめにより

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原麻穂(Minohara Asaho)

前職は航空会社で統合プロジェクトにも参画。組織・システム統合、新サービスの開発など組織の機能とマインド両面の変革を要求される多数のプロジェクトに貢献。

その後、組織風土コンサルティングのスコラ・コンサルトへ入社。歴史の長い企業や、M&A、統廃合、赤字事業、事業再生など、事業の成長サイクルとしては成熟期や衰退期に差し掛かっていた時期での支援を多く担当。事業や人の存在価値を根本から問われる厳しい現実と向き合う経営者やリーダーと同じ目的を持ち、またその力をとことん引き出しながら目指すものを共有。一緒に悩み苦しみ喜びながら乗り越えていくという経験を積む。温かみある伴走者として粘り強い支援が特徴。

待ったなしの改革が必要!社員が自ら再生に動き出すには?

 

V字回復のはじめの一歩。どんな事業でもチェックすべき点は一つ。

㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。

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