(相談)プライドが高くて注意するとパニックになります

私が事業所で小学1年生や2年生の子によく使う手です。ものを振りまわして「危険だな」と思ったら、あえてぶつかりに行きます。ぶつかりに行くときは、その子の視覚範囲の斜め前から行きます。後ろからだと、ぶつかるところが見えないし、正面からだとよけられてしまう可能性があるからです(一例として参考にしてください)。

そして、「痛~い!(泣く)ぶつかった」と、振りまわしている子にいいます。すると、一瞬怯んで「やばっ!」という顔をします。そうしたらしめたものです(「やばっ!」という意識のない子にはこの手は使えません)

こうすると、注意をしなくてもすぐにやめてくれます。そして、ここからのフォローが重要です。

ぶつけた子には、「わざとじゃないよね。こういうときは何ていうんだっけ?」と声をかけます。ルーチェでは、ソーシャルスキルトレーニング(SST)の中で、「うっかり」と「わざと」の違いを教え、自分が失敗したときにはこういえば大丈夫なんだよと教えています。

するとほとんどの子が「ごめんなさい」といいます。そのタイミングで、「みんながいるところで振りまわしたら危ないよね」と伝えます。

ここでの目的は、「ごめんなさい」といわせることではなく、人がいるところで何かを振りまわすと危険だということを理解してもらうのと同時に、たとえわざとじゃなくても、人にぶつけてしまったら謝ることが大切だと気づいてもらうことです。

したがって、「ごめんなさい」といえたことはしっかりと認めてあげます。「ごめんなさいっていえたね」と言葉で伝えます。これが一連の流れです。

プライドが高く、注意されるのが嫌な子には、言葉で「やめなさい」と注意するよりも効果的です。被害もたいしたことはありませんし、注意する回数も工夫次第で減らせます。

ただし、子ども自身が他人を傷つけるのを「よくないこと」だとか「嫌なこと」だとわかっていないと逆効果になります。

共感性が育っていない子や、人から褒められたり認められたりすることもよく理解できない子の場合、自分のやりたいことだけにこだわり、それを阻害されると暴力行為に走ってしまいがちです。自分の目的のためなら他人を傷つけても罪悪感を覚えないのです。

そのとき、他人を傷つけることで自分の想いを達成してしまうと、「人を傷つける=自分の思い通りになる」という誤った達成感を積み上げることになり、二次障害につながるケースがあります

一旦パニックになった場合、彼女たちは情報を受け取ることができなくなるので、まずは落ち着かせてこちらの話を聞ける状態に戻す必要があります。

注意しておきたのは、指示が受け入れられないのは大きくふたつの理由があることです。

①いっている意味や人の感情がわからない

②わかっていても我慢ができない

 

1の場合は、発達段階を確認してその発達を待つか物理的にフォローする形になり、修練不足の場合には、くり返すことで身につけさせることが可能です。

2の場合は、視覚や聴覚などの感覚情報を一旦リセットしてあげる必要があります。リセットルームなどの静かな場所を用意し、ひとりにしてあげることが有効です。

(相談)何度注意してもやめてくれません

隣ではなく、少し離れたところから見守ります。ただし、不安が強い子の場合には、呼びかけに応えてくれる大人が近くにいるほうが落ちつくということもあるので、子どもに合ったやり方で行うことです。

気が散るものが何もない部屋で、落ち着いて話を聞ける状態になったら、必要な情報を入れるようにします。

ー『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』より抜粋/編集

◆本書の紹介◆
発達障害の女の子の保護者や支援者が気をつけるべき点や、知っておくべき情報などを全6章、「47のルール」としてわかりやすくまとめたのが本書です。

1章 診断や医療機関の上手な使い方について
2章 親としての心構え、親のとるべき行動
3章 日常生活での支援と療育について
4章 健やかな生活を送るための学校選び
5章 女の子に必要な「学び」-思春期と性教育
6章 療育支援Q&A
「何度注意してもやめてくれません?」
「プライドが高くて注意するとパニックになります」
「新しい場所や新しいことが苦手です」など。

豊富な経験や、専門家からのアドバイスをもとに著者が作りあげてきた「発達障害の女の子たちが幸せに生きていくためのノウハウ」です。

ぜひご活用ください。

 

―藤原美保(Fujiwara Miho)

藤原さん250

健康運動指導士、介護福祉士。

株式会社スプレンドーレ代表。

エアロビクス、ピラティス、ヨガインストラクター等フィットネスのインストラクターとしてスポーツクラブ、スポーツセンターでクラスを担当。発達障害のお子さんの運動指導の担当をきっかけに、彼らの身体使いの不器用さを目のあたりにし、何か手助けができないかと、感覚統合やコーディネーショントレーニングを学ぶ。

その後、親の会から姿勢矯正指導を依頼され、定期的にクラスを開催。周囲の助けを受け、放課後等デイサービス施設「ルーチェ」を愛知県名古屋市に立ち上げる。100組以上の発達障害の女の子とその保護者をサポートしてきた経験を踏まえ、実践の場からの声を届けるために、『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』を執筆。

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㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。

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