私たち100人の乳がん体験記

◇乳がん含むガンの統計 看者数など

女性のがんの中で一番多い乳がん。国立がん研究センターの2020年がん罹患数予測によると、日本国内の全がんの罹患者数は、101万2,000人。乳がんは、9万2,900人(うち女性9万2,300人、男性700人)で、特に40歳代後半〜60歳代後半の罹患率が高い傾向にあります。

がん罹患の部位別順位は(2020年予測)

女性        男性
1位:乳房       1位:前立線

2位:大腸                2位:胃

3位:肺                   3位:大腸

4位:胃                   4位:肺

日本人女性の12人に1人が発症するといわれている乳がん。早期発見による治療で90%が治ると言われています。がん検診で早めの対策をするのが理想です。もし、「乳がん」との診断が出たら…

◇乳がんといっても…

乳がんといってもさまざまなタイプがあり、それぞれに応じた治療方法が提供されています。また、いろいろな医療機関や学術機関、企業が切磋琢磨して治療方法を開発しており、同じタイプの乳がんでも治療の選択肢は多岐にわたっています。仲間たちとそんな話をするといつも出るのが、

「もっといろいろ知っときたかった!」

「同じ病気の人との会話が何よりの薬!」

という声。

自分の体のことだから、自分で調べて、自分で納得できる治療を選びたかった。

経験者の体験談から心の準備をしたかった……。

自分ひとりで泣いていたのが仲間に出会えて本当に楽になった……。

40歳で乳がんと診断された豊増さくらさんが書いた書籍『乳がんと診断されたらすぐに読みたい本』からの抜粋です。乳がんには様々な種類があり、また治療やライフスタイルのあり方なども多岐に渡ります。以下に、本書に収録されている120人の方のアンケート結果(円グラフ)とコメントの一部をご紹介します。経験者の豊増さんだからこその行き届いたアンケート内容です。

乳がんを経験したこの120人の方たちは、発見~治療~治療後をどう過ごしたのでしょうか? 本書に掲載されている内容のほんの一部となりますが、以下にご紹介します。

◇乳がんを経験した120人の方たちは、発見~治療~治療後をどう過ごしたか?

【日常生活について】

「家族、親しい友人のみ」が1位でした。ところで、著者・豊増さくらさんが伝えた相手と時期は

即日:夫、義家族(実家の両親は他界している。子供には伝えていない←積極的には隠していないので今は知っている)

数日後:仕事関係(数人)、ママ友(ひとり)

抗がん剤が終わってから:仕事関係(いっぱい)友人ママ友(3人)

だったそうです。「『がんが見つかった!』なんて聞かされたほうも負担。どう反応していいのかわからないと思う」との考えから、豊増さんは、このタイミングでの報告でよかった、と思っているそうです。ただしこれは、豊増さんの個人としての感想。「病気なんて究極の個人情報だからそもそも公表する義務はない」し、「言いたい人に、言いたいタイミングで」というのがその考えです。

【仕事について】

「一時的に療養休暇をもらった」が1位です。期間は、120人中、多い順に、3ヶ月未満が50人、半年以上1年未満が19人、3ヶ月以上半年未満が14人、1年以上が10人、1年間ちょうどが7人。「休暇はとらず働いた」という方のコメントには「自分でもかなり無理してたなぁ~と思うところは多々あります。介護職なんで肉体労働だし。でも、働くことによってずいぶん気も紛れたので今の私があるのかも。【ゆうこりん】(介護)」という内容も。また、主治医に「絶対に仕事は辞めちゃダメ。家にこもるとよくないことばかり考えてしまうし、今は仕事しながら治療できるから」と言われた方もいました。病気への理解がない上司のいる部署からの配置転換を希望し、仕事を続けたという方も。

ちなみに、自宅を事務所に開業していた豊増さんは、頼める仕事は人に頼み、新規の仕事を入れず細々と仕事を継続。本格復帰したのは、治療の中でも一番大変なFEC(抗がん剤の点滴)の最中でした。周囲が「そろそろ仕事復帰できるかな?」と思ったのが、よりによってこのタイミングだったそうです。しかし、「治療が進行するにしたがって、自分でも不思議なくらい、働くことに関しては前向きになった。何かに取り組んでいなければ気持ちが保てなかった、というのもある。」また、「やっぱりお金がほしい」などの思いが重なったそうです。

【病院の選択について】

「住居や職場、実家に近い等距離的な問題」を筆頭に「医師やスタッフとの相性が良かった・信頼できた」「治療内容・実績が気に入った・信頼できた」が僅差で並びました。

診断結果等は同じだが、主治医がオブラートに包むようにやんわりいってくれたのに対し、がんセンターでははっきりいってもらえたので現実を知られてよかった。」という意見や、「最初の病院で全摘になるといわれ、同時再建を希望していたがその病院では行っていなかったため、同時再建もできる今の病院に転院した」という声も。

希望の病院もなく、かかりつけ医もいなかった豊増さんは、最初に行った病院の方針にすんなり納得することができたことから、その病院で治療することになりました。この豊増さんのケースは「たまたま」。「がんの治療って長いから、一時の我慢でやり過ごそうと思ったのが、あとあと大きなひずみになることだってある」ことからも、セカンドオピニオンを求めたほうがいいとしています。また、乳がん検診については、「ひとこと声を大にしていいたいことがある。受けても納得できなかったら別の病院へ行こう!」。

【治療について】

乳がんと診断されたらすぐに読みたい本』には、具体的な抗がん剤名とともに、その体験談が掲載されています。豊増さんは、抗がん剤治療を選択しましたが、昔と違って、いまは治療の選択権が患者側にあることや、ひと昔前に比べて格段に副作用対策が進んだとはいえ、それでも抗がん剤治療は身体的なダメージが大きいことから、「自分にとって何が大事なのかをしっかり考えて治療を選択してほしい」としています。

【手術後の生活について】

手術後でも頻度の差はあれ、手術前と変わらず温泉に行っている方が多い結果となりました。また、手術後に運動をするようになったかについては、「特に運動はしていない」の52人に対し、僅差で48人が何らかの形で運動をするようになったそうです。「プールで水中ウォーキングを始めました。暑い時期はすっきりするし、心地よく疲れてよく寝られるので続けたいです!」「術前からウォーキング(1日40分~1時間)を始め、退院してからもできる日はほぼ毎日やっていました。そして今ではジョギング(1日30分くらい)へと進化。マラソンにも参加しました!

この本は突然の病気に「これから先どうなるの!」ととまどう患者さんやその家族に、「こんなふうになるよ」、「こんな選択肢があるよ」ということをお伝えしたくて書いた本です。何かのご参考になればうれしいですし、「なんだ意外と元気じゃん」と、ほんの少しでも元気になっていただければとてもとてもうれしいです。病気の種類も治療法も受け止め方も千差万別。ぜひ、あなたの仲間をこの本で見つけてください ―豊増さくらさんにより「はじめに」より

【本書の内容】

第1章 治療のこと

これから治療を受けられる方、ご家族の方へ 乳がんの治療って、こんな感じで結構バラエティに富んでます!

◎私の治療スケジュール/◎受診・告知・術前検査/◎手術・リハビリ・病理検査/◎抗がん剤治療

◎髪の毛のこと/◎放射線治療・ホルモン療法・術後検査/◎治療のこと(補足)

第2章 生活のこと

治療中って生活はどうなるの!? そんな不安にお答えします!

◎お金のこと/◎日々のこと

★100人の体験記 アンケート結果《データ&コラム》

・乳がん発見の経緯/定期検診は受けていましたか?/温存・全摘の選択/再建の予定は?

・初回受診から手術までの期間/乳房再建の方法は?/入院時に持っていってよかったもの/リハビリで腕はいつ上がるの?

・病理タイプ別治療体験記(ステージ・核グレード・サブタイプほか)/治療と妊娠/いろいろな抗がん剤/副作用対策

・ウィッグの費用について教えて! /いつ脱ヅラしましたか?

・ホルモン療法の副作用は?/ホットフラッシュはありましたか?/術後検査について

・抗がん剤治療中の「体重」/リンパ浮腫の予防/海外での治療

・みんなの治療費(表)/がん保険、あなたは?

・子供とのエピソード/障害のある子供と私の治療生活/仕事はどうしましたか?/乳がんになった一番の原因って何だと思う?

・職場で病気のことを公表しましたか?/術後、温泉には行っていますか?……ほか

― 豊増さくらと乳がん患者会bambi*組

豊増さくら

1971年生まれ。本業は中小企業診断士(二児の母)。乳がん患者会bambi*組初代組長。40歳の誕生日直後に乳がん発覚。「浸潤性乳管がん、ステージ2b、グレード2、ホルモン陽性(HER2陰性)」というよくあるタイプの乳がんであることから、「自分の治療体験が他の人の役にたつのでは?」とブログを始め、その縁で多くの仲間に恵まれ、乳がん患者会bambi*組を立ち上げる。手術、術後抗がん剤治療を経て現在元気にホルモン療法中

高尾信太郎

大阪府出身。神戸大学卒業。神戸労災病院、淀川キリスト教病院、大阪府済生会中津病院などを経て現在、兵庫県立がんセンター乳腺科部長と神戸大学医学部教授を兼務。日本乳癌学会専門医・評議員。日本外科学会専門医・指導医。検診マンモグラフィ読影認定医。日本がん治療認定医機構認定医・暫定教育医

脇田和幸

神戸大学卒業。淀川キリスト教病院外科部長などを経て現在、茶屋町ブレストクリニックを開業。日本乳癌学会専門医・評議員。マンモグラフィ読影認定医(評価A)。日本外科学会専門医・指導医。日本消化器外科学会・認定医。日本臨床腫瘍学会・暫定指導医

本書の感想のご紹介

「仲間を得たような気持ちで治療を乗り越えることができた!」

「医師に落ち着いて質問をし、また受け入れることができました」

「やはり、体験に勝るものはないと思った」

「勇気をもらった」

「明るい文章で読みやすかった」

…たくさんの声をいただいています!

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STORY』2020年10月号で紹介されました!

本書の著者・豊増さくらさんを始めとする方々の体験談が掲載されています。乳がん予防の啓発となり、また乳がんの知識を深めることのできる特集となっています。

㈱エッセンシャル出版は、「本質」を共に探求し、共に「創造」していく出版社です。本を真剣につくり続けて20年以上になります。読み捨てられるような本ではなく、なんとなく持ち続けて、何かあった時にふと思い出して、再度、手に取りたくなるような本を作っていきたいと思っています。

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