イロハの「医」 その3 2つの根治療法に見るこれからの「医」

2つの根治療法に見るこれからの「医」

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医療の「医」の字には、「医療の本質」を見てとることができるという話をしてきました。

医療にも心的なケアが大切であることは、誰もが認めるところだと思います。「病は気から」という言葉が示すとおり、心の持ちようが健康に大きな影響を与えるからです。「プラセボ効果」という言葉をご存知だと思いますが、「この薬を飲めば病気がよくなります」という言葉を信じさせることができれば、その薬がたとえ粉砂糖であっても一定の医療効果を期待することができます。脳が納得すれば、「病気を治す」という体内にもともと備わっているシステムが稼働するということなのでしょう。

「対症療法」の対義語である「根治療法」には、この心的なケアという要素がかなり含まれるのではないかと思います。根治療法は、「すぐに効果が見える」わけではありませんし、ある程度時間をかけて改善していくものです。つづけるにはそれなりのモチベーションが必要で、では何がそのモチベーションになるのかと考えたとき、「信じることができる」ということが、とても大きく作用するのではないかと思うからです。それでは、実際の根治療法の2つのケースを見てみることにしましょう。

歯を削る医療から、歯を削らない医療へ

「ちゃんと歯を磨いているのに、なぜ虫歯になってしまうのだろう」「あの子はろくに歯を磨かないのに虫歯にならないのはなぜ?」などと思ったことはありませんか?

前者については、「歯の磨き方が悪いから」という理由を挙げることもできますが、それでは後者の説明がつきません。しかし、この疑問に合理的な答えをくださる先生がいます。

未来歯科(東京都港区新橋)の川邉研次先生はベテランの歯科医です。その特徴のひとつが、「歯を削らない」こと。通常、歯医者に行ったら虫歯の部分を削ります。ところが、先生は歯を削りません。年に数回やるかやらないかといった程度。なぜなら、その前にやらなくてはいけないことがあるから。

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歯を磨いているのに虫歯になるのは、よく考えてみると人間だけ。逆に、野生動物は歯を磨きませんが、虫歯にはなりません。それは、虫歯にならないための咬(か)み合わせや、食べたときに充分な量の唾液が出るといった仕組みがきちんと働いているからです。人間も同じ生き物ですから、同じような仕組みを持っています。しかし、それが充分に機能していないのです。

虫歯や歯並び、口臭、歯周病など、「お口の健康」を損なってしまう原因は、川邉先生によると「姿勢」や「呼吸」にあると言います。これはまったく予想できない答えではないかと思います。

先生は歯を削る前に、姿勢や呼吸を整えるための運動などをさせます。すると、虫歯はもとより、歯の矯正をしなくても、自然ときれいに並び変わっていきます。それが人間本来の姿だからです。それだけでなく、多くの病気の原因が、赤ちゃん時代の姿勢や呼吸のあり方に起因するのだと先生は言います。詳しくは先生の著書に譲りますが、これは究極の根治療法と言えるのではないでしょうか。

体を作る材料「食事」を見直す

体が持っている本来の機能を取り戻すのが川邉先生の提唱する根治療法だとすると、体を作る毎日の食事を見直すことで体質を改善していく方法を提唱しているのが、未病アカデミー(山口県周南市)の後藤日出夫博士です。

博士は分子化学者で、医者ではありません。だから、医療行為はできません。しかし、博士の提唱する理論に共感したお医者さんと一緒に、食のアドバイザーとして活動されています。

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博士は以前、米国の研究所で働いていたときに、食事を含む生活習慣の乱れ、厳しい研究競争による多大なストレスなどから、高血圧をはじめとするいくつもの生活習慣病を患いました。そこで、ご自身の専門分野である分子化学の視点から独自の健康理論を築き上げ、病気をすべて自力で治してしまったという人です。

そのポイントが「食事」。「朝ごはんの代わりに健康ジュースを飲む」「ラブレクラウト(ラブレ菌の入ったキャベツの塩漬け)を毎日食べる」「サラダ油を調理に使わない」といったことに気をつけるだけで、体質改善ができるという理論です。

じつは、筆者も毎朝健康ジュースを飲んでいます。飲み始めた最初の春に、それまでひどく悩まされていた花粉症がまったく出ず、それ以来ずっと飲みつづけているのです。あのときの驚きと感動を多くの人に伝えたくて、博士の本を何冊も作らせていただきました。

川邉先生と後藤博士の理論は、一過性の健康法などではなく、いずれも人間が本来持っている自然治癒力や免疫力など、いわゆる「生命力」を、実生活の中でどのように引き出していくか、取り戻していくかという、言わば「自然に回帰していく人間」という大きなテーマを有しているのではないかと思っています。

超高齢化社会を迎え、学歴の高さや財産の多寡ではなく、健康こそが人びとの尊敬を集める「価値」になっていきます。この2つのケースは、そうした時代に求められる「医」の形を示しているのではないでしょうか。

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