【新刊】学校を開いたら、町が人が風向きが変わった!⑭

【コミュニティ・スクールのメリット】

 

 

現在、官民一体教育の一環としての
「コミュニティ・スクール」が注目を集めています。

学校と地域住民などが力を合わせて
学校の運営に取り組むことを目的とした仕組みのことで、
地域とともにある学校」への転換を図る有効な手立てとして、
文科省が推進している施策です。

コミュニティ・スクールでは、最初に校長先生が学校運営の基本となる方針を作り、
それに沿ったものであれば、地域の皆さんが学校運営に関する意見を
学校や教育委員会に伝えることができます。

そして、子どもたちや学校にとってよりよい意見であれば積極的に取り入れていく……
という流れですが、何でもかんでも取り入れればよいというわけではありません。
そこでのポイントは、学校運営もさることながら、

「地域として何を目指すのか?」という目標が大切になってきます。

文科省のホームページには、コミュニティ・スクールの導入例がいくつか載っています。

それを見ると、地域住民の方と学校との連携がほとんどで、
武雄市のように民間企業を取り入れている例は少ないようです。

また、その例の多くが地方都市であり、過疎や高齢化対策の一環として、
あるいは当該地域の未来の担い手(子どもたち)の養成といった観点から、
コミュニティ・スクールの導入がおこなわれているようです。

 

武雄市の場合もそうした環境下にあるのは同様です。
こうした悩みを抱える多くの自治体が、
その解決策のひとつとしてコミュニティ・スクールに希望を託しているということだと思います。

いずれにせよ、コミュニティ・スクールの場合は主役となるのは子どもたちですから、
彼らにとってのメリットを考えることが第一であり、
さらに大人(先生、保護者、地域も皆さん)にとってのメリットを考慮する必要があると思います。

子どもたちのメリットについては、これまでに繰り返し述べてきたように、
自己肯定感が高まる、明るく元気になる、挨拶ができるようになるといった
メンタル面でのケアのほかに、
既存の教科以外の学習機会(ボランティア、地域活動、地域の有識者らによる独自の授業など)
を通じて、地域との連携が深まり、またその魅力を再発見することで都心部への流出を防ぎ、進学や就職などでの選択肢が増えるといったことが挙げられると思います。

武雄市の場合は、そこに〝学習のプロ〞である花まる学習会のノウハウを導入することで、
「見える力」や「詰める力」といった、

将来子どもたちが自立して生きていくために必要な力の基礎づくりを
並行しておこなうことを目指したわけです。

このように「民間の力を借りる」ということでいくと、
地域に根差し、また全国的にも注目を集める「地元の企業」というのがあると思いますので、
そうした企業との連携をどのように考えるのかがポイントになるのではないかと思います。

さきほど申し上げたように、コミュニティ・スクール導入を
検討する自治体の多くが地方にあります。
言ってみれば「田舎」なわけですが、
都会に比べると人間関係が濃密だという特徴があると思います。

ところが、ある学校の6年生が話していたのは、
花まるタイムが始まってから、地域の方と学校外でも挨拶するようになったということで、
これが私には意外に感じられました。
ここでは、もっと普段から地域ぐるみのつながりがあると思っていたのです。

しかし、どこに住んでいてもやはり彼らは〝現代っ子〞なのですね。
都会では、公園に子どもたちが集まって端末やスマホを見ながらゲームをしている姿を
見かけることが多くなりましたが、そうした気質はどこにいても変わらない。
まさしく彼らはデジタルネイティブなのです。

地方の場合は、お祭りや地域の集まりが比較的多く、
また代々継承されているといった側面があると思いますが、
それも子どもたちにとっては「非日常」でしかありません。
一方の花まるタイムは「日常」であり、

日常であるがゆえに、
そこに地域の皆さんが入ることによってそのつながりが深くなって、
それで挨拶ができるようになっていったという側面もあったと思います。

それは子どもにとっても、先生や保護者を含む地域の皆さんにとっても
大切な財産となるものですから、
コミュニティ・スクールの導入の大きなメリットとして、
繰り返し強調しておきたいところです。

 

 

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『学校を開いたら、町が人が風向きが変わった!』
前原匡樹(武雄市協働コーディネーター&人と学校をつなぐ町おこし先生)
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